言語学の論証方法のひとつである、文法性テスト(容認性テスト、言語テスト)を様々な研究領域から集める、あるいは新たに提案するためのWikiです。

照応詞置換テストは、文内のある部分に対し、それに置き換わる適切な照応詞があることをもって、その部分が構成素を成すことを示すテストである。

大区分小区分類型対象言語水準
統語・構文構成性テスト置換型すべて基礎

概要

観察

a. Lucy saw an old man running in the park, and Mary saw him, too.
b. Lucy will call John, and Mary will do so, too.
c. I bought this book on Churchill but not that one.
(a)の him は an old man running in the park を指し、(b)の do so は call John を指し、(c)の one は book on Churchill を指すことができる。

判定

何らかの照応詞に置き換えることができれば、その部分が構成素を成すことが示される。ただし、このテストにパスしなかったからといって構成素でないとは言い切れない。

解説

文内では、語と語がまとまって構成素を成し統語的操作の単位となる。照応詞によって置き換えるという操作も構成素を単位に適用されるため、基礎的な構成性テストとして利用されることが多い。(a)では an old man running in the park が NP として、(b)では call John が VP として、(c)では book on Churchill が N' として、それぞれ構成素を成すと判断できる。なお、I(Aux)のように置き換え形式がない投射を形作るものもあるため、他に条件を設けない限り、このテストにパスしないことを構成素でないことの証拠として使うことはできない。

表現形式

判別辞
he, she, it, this, that, one, so 等
被判別辞
任意の語連続

応用

-

参考文献

  1. Haegeman, Liliane. 2006. Thinking Syntactically: A Guide to Argumentation and Analysis, Blackwell.
  2. 岸本秀樹. 2009.『ベーシック生成文法』ひつじ書房.

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