言語学の論証方法のひとつである、文法性テスト(容認性テスト、言語テスト)を様々な研究領域から集める、あるいは新たに提案するためのWikiです。

図地の言語化テストは、モノ同士の位置関係を描写する文を用いて、場面における図と地の認知が言語化の自然さとして反映されることを指摘するためのテストである。

大区分小区分類型対象言語水準
意味・語用認知意味論・認知文法言い回し型すべて基礎

概要

観察

a. The bike is near the house.
b. ??The house is near the bike.
(Talmy 2000:314)
(a)は、近接関係を述べた表現として自然であるのに対し、名詞句を入れ替えた(b)は不自然である。

判定

モノとモノの位置関係を表すような自然な文に対して、両者を入れ替えた文を作ると不自然になるという観察から、それが人間の図地認識の言語的反映であるという主張を導く。

解説

認知文法では、人間の一般的な認識のしくみから言語のありようを説明することが目指される。上の例では、the bike と the house の近接関係をごく単純に表した(a)に対して、それら項を入れ替えて同じ場面を描写しようとすると、(b)のように論理的あるいは統語的には問題がないにもかかわらず極めて不自然な表現となってしまう。この自然さの差は、場面の言語化が図地認識と合うような形で行われることを示しており、認識のメカニズムが言語を決める例とみなすことができる。

表現形式

判別辞
〈被判別辞〉の要素を入れ替えた文
被判別辞
前置詞を使った空間描写文

応用

-

参考文献

  1. Talmy, Leonald. 2000. Toward a Cognitive Semantics: Concept Structuring Systems, MIT Press.

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